吾輩の救助活動は夜へと移っていた。
日中の救助活動が実績を評価してくれたのだろう。
人間が犬用の装備を吾輩に貸してくれたのだ。
これでも吾輩は猫なので夜目は効く。
だが、瓦礫の隙間を見通すには流石によく見えない。
吾輩「これで、多少救出活動もしやすくなったぞ」
吾輩は町の更に奥へと進んだ。
「みぃー」
吾輩「?、今鳴き声がしたような・・・。」
吾輩「おーい、誰かいるか?」
・・・。
「みぃー」
やはり、鳴き声で間違いない。
吾輩は鳴き声がしたであろう方向へと走った。
吾輩「おーい」
・・・。
「みぃー」
どうやら、倒壊してい建物の中だ・・・。
下側には入れそうな隙間はどこにもない。
吾輩は倒壊した建物の上へと移動した。
上には亀裂があり、入れそうな隙間がある。
吾輩「この装備では突入は無理だ。」
吾輩は装備を外して、中へと突入した。
中には、倒れている猫とその近くに子猫が一匹寄り添っていた。
倒れているのは、子猫の母猫だろう。
吾輩「おい、大丈夫か兄弟?」
しかし、母猫は反応がいない。
吾輩「おい」
しかし、母猫の目は白く濁り、体は固くなり既に息は絶えていた。
吾輩は母親の亡骸に縋りつく子猫を引きはがして抱き寄せた。
吾輩「泣くな兄弟。お前は母の分まで生きるのだ。」
「みぃー、みぃー」
吾輩「吾輩が救ってやる。だから生きろ!」
子猫は吾輩を振りほどいて母猫の元へ行こうとしていたが、
吾輩は暴れる子猫を咥えて、出口の方へと駆け上がった
「みぃー、みぃー」
外は小雨が降り始め、吾輩の体を濡らした。
吾輩は救助隊への元へと急いだ。