吾輩は瓦礫の中で、助けを求める声が無いか耳を澄ましていた。
「みぃー、みぃー」
聞こえてくる雑音や風の音の中に微かに、鳴き声が聞こえる。
聞こえる方向へ足を進めた。
徐々に、声は近くなる。
吾輩「通り過ぎた?」
吾輩は少し戻った当たりで注意深く聞き耳を立て探索を始めた。
「みぃー、みぃー」
足元辺りで声が聞こえる。
吾輩は足元の瓦礫を口で少しずつどかした。
瓦礫を退かすと丁度、吾輩が入れる程度の隙間の奥で子猫が泣いていたのだ。
吾輩は、隙間に進んで子猫へと近づいた。
吾輩「兄弟。吾輩が助けに来たぞ。」
吾輩はまだまともに話すこともできない子猫を口にくわえて、その場を脱出した。
吾輩は子猫を人間の元まで連れって行った。
吾輩も保護されそうになったが捕獲されないように身をかわして次の現場へと向かった。
次の現場では、瓦礫に足が挟まったのだろう。
瓦礫から抜け出そうともがいている白猫に遭遇した。
吾輩は周りの瓦礫を少しずつ退かして、白猫にかかっている瓦礫の荷重少しづつ取り除いた。
吾輩「もうすぐ、脱出できるぞ。待っておれ」
白猫「申し訳ない。申し訳ない。」
白猫が悪いわけではないのに・・・。
瓦礫をどかして1時間ほど経った頃。
挟まっていた瓦礫の荷重が取れて白猫はようやく脱出することが出来た。
心細かったのだろう。白猫は吾輩の胸に身を寄せしばらく動くことが出来なかった。
吾輩は白猫を30分程介抱して、人間の元へと連れていったのだ。